2022/03/18 21:47
先日ニセコ町の広報誌に記事を書いてほしいとのことで書いた文章があり、ダチョウ牧場について分かりやすいかと思うのでこちらにも転載させていただきます。
以下、掲載されたものを若干手直ししたものです。
ニセコ町のはずれにあるダチョウが飼われている牧場をご存じですか?
ここは30年ほど前に南アフリカでダチョウの輸出が解禁され、日本に限らず世界中でダチョウ産業が始まった頃に作られた牧場です。
当時は粗食に耐え、ヘルシーで美味な赤身肉が取れる為、牛肉の代替えになるという事で脚光を浴び、北海道中で飼われていました。
水資源もあまり使わない畜産という事で、外国では大きな牧場がありますが、いろいろな事情から日本ではダチョウ産業が盛り上がることはなく、次第に日本中から牧場が無くなっていきました。
このダチョウ牧場も採算が取れない中、先行きも危うい状況になっていきました。しかし、ニセコ町の子どもたちを始めとした町民の皆さんが平成19年に牧場をふるさと眺望点に選んでくれたおかげで、励まされ、採算が取れない中ダチョウの飼育を続けてきた歴史があります。
ちなみに、子どもたちが餌やりをしたがっている様子を見た私の祖父が手作りのおやつ箱を設置し、最初の頃はその売り上げをあそぶっくさん(ニセコ町の図書館)に寄付していました。
牧場を応援してくださる皆さんのおかげもあって、採算を取りながらダチョウを飼い続けられるようになり、おやつ代の一部を今年からまたあそぶっくさんの雑誌の購入費に充てていただけることになりました。
今年は牧場の名前の由来である有島武郎さんが農場を無償解放して100年目です。解放当時、有島武郎さんは自然を人間本位に扱うことを戒め、人々が支え合う「相互扶助」の考えを唱えました。ニセコ町に根付き、現代の人々にも共感される大切な考え方だと思います。こうした歴史や文化を町内外の方に伝えながら学びなおし、これからも育んでいきたいと思います。
第二有島だちょう牧場